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Ship John Stories  Volume:01

The Beginning of "SHIP JOHN" 〜シップジョンの始まり〜

 シップジョンの創業者であるマイク・イライアスは、2005年から2006年に掛け、後に妻となる恋人とVW BUSに乗り込み、全米を巡る旅へと出かける。まるでかの有名なアメリカの小説家であるジョン・スタインベックのように。その走行距離はのべ25,000マイル以上(大陸横断5回分)。

 

 これはブランド創業前夜へと繋がる物語である。

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Mike Elias / マイク・イライアス

全米をワーゲンバスで旅した後、多くのインスピレーションを受けたオレゴン州ポートランドに移住。独学でパターンメイキングを学び、2006年にSHIP JOHNを創業。ブランドの名称は、マイクのホームタウンであるアメリカ・ニュージャージー州に旧くからある、美しい灯台の名から取られている。

 もともとアメリカ東海岸にあるフィラデルフィアでの生活が気に入っていたのですが、恋人のアマンダと私は変化を求めていました。そこで私たちは所有しているものをすべて処分し、タイプ2のVWバスに乗り込んで西へ向かうというアイデアを練っていました。そして2005年、ついにその時が来たと判断し、私たちは全米を巡る旅へと出発します。

 

 その小さなバスは私達を何度も全米中へと連れ回してくれました。今では懐かしい紙のロードマップと行き当たりばったりの決断が、私たちの人生の中で最高の時間をもたらしてくれました。私たちはガソリン代の足しにと、路上でギターを弾いたり、時には旅先で奇妙な仕事をしたりもしました。

 その旅の途中、北カリフォルニアにある友人の農場で働くことになり、その収穫期の前にアメリカ東海岸へと戻り、2006年10月にアマンダと結婚することにしました。そして私たちは再び西海岸を目指すことになるのですが、その前に友人がオレゴン州のポートランドで落ち合おうと言ってきたのです。

 

 ポートランドには2日間しか滞在せず、南下してカリフォルニアに向かいました。農場での仕事が終わり、新しい目的地が必要になった私たちは気まぐれにまたポートランドに戻ったのです。そこはたった2日間しか滞在しなかったにも関わらず、私たちの興味をそそる魅力的な街だったと気がついたのです。

 

 その後Division Streetの駐車場に住み、コーヒーショップのコンピューターを使って仕事と住む場所を探しました。アマンダはレストランの仕事を見つけ、私はスタンプタウンコーヒーで働き始めました。当時はこの仕事がとても難しい仕事だということをよく理解しておらず、ラテが何なのかも知らなかったので、働くことが出来たのはかなりラッキーでしたね笑。

当時24歳であったマイク・イライアス。お気に入りの自転車をタイプ2のVWバスに乗せて、愛する人と全米を巡る旅に出かける。この旅を通じて、ものづくりという情熱の素地を磨いていくことになる

 この頃、私は裁縫を始めることにしました。もともと自転車が好きで、サイドにロゴのないサイクリングハットが欲しかったんです。私がデザインして作ったそのカシミアウールの帽子は、私が最初に販売した商品となりました。

 

 それがポートランドにある自転車ショップ〈バニラ・バイシクルズ〉 のサーシャ・ホワイト氏の目に留まり、私の帽子を販売してくれたことがきっかけで、彼のもとで働くことになりました。この仕事のおかげで、私は手先の技術を磨くことができたのです。金属を扱うとはいえ、自分の手と心に何ができるかを知るためのとても重要なトレーニングでした。

 

 その後、自転車用のバッグをデザインするようになり、革やワックスキャンバスを使ったデザインや製作に興味を持つようになり、私を夢中にさせたのです。それ以来、できることは何でも作ろうと思っていました。バッグ、財布、ベルト、ナイフの鞘……すべて自宅の空きベッドルームで作っていました。

 

 2009年、私は最初のアトリエに引っ越すことになります。そこは1900年初頭の美しい小さな馬車小屋で、私は愛情を込めて“ザ・バーン” と呼んでいました。家賃は月100ドル。独立したワークスペースを持つことで、モノづくりの新しいアイデアを生み出すことに集中できるようになったのは大きな変化でした。当時はお金がなかったので、母が200ドルを貸してくれて、もっといいミシンを買ったのも良き思い出。それ以降、バーや建設業の仕事をしながらも、これが私の生涯の仕事だと確信したのです。

 

                                                 Mike Elias

“ザ・バーン(厩舎)”と命名した念願のア トリエは、1900 年初頭に建てられたという 馬車小屋。この場所でシップジョンとして のモノづくりの世界観がより広がっていく

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