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Ship John Stories  Volume:05

~Leather Design~

マイク・イライアスが独学で学んだレザークラフトは、シップジョンがスタートした頃から行っているブランドの根幹でもある大切な作業である。多大なる時間を掛けて試行錯誤を繰り返し、デザインだけでなく製品の耐久性も向上させるための努力を日々繰り返している。そんな革製品に対するマイクのこだわりとは?

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Mike Elias / マイク・イライアス

全米をワーゲンバスで旅した後、多くのインスピレーションを受けたオレゴン州ポートランドに移住。独学でパターンメイキングを学び、2006年にSHIP JOHNを創業。ブランドの名称は、マイクのホームタウンであるアメリカ・ニュージャージー州に旧くからある、美しい灯台の名から取られている。

 レザー・デザインは、シップジョンを創業した初期の頃から行っている仕事の一つです。最初はとてもベーシックなカード入れや財布を製作することからスタートしましたが、自分のアイデアをもっと取り入れようとしたときに、よりシンプルであることが良いデザインの鍵だと気がつきました。レザークラフトを独学で学んだ私は、自分のデザインを思い描いた通りに仕上げるために試行錯誤を繰り返しました。切って、縫って、修正して、また切って、縫って、修正して……。失敗から学ぶことは、工芸における偉大な教育の場なのです。

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シップジョンのレザーデザインに携わる1 人であるジョー・タオルミーナ。ブラックコーヒーとビールを愛するナイスガイ。モンタナ州グレートフォールズで生まれ、オレゴン州オンタリオで育った彼はシップジョンのウォレットを始めとする様々な革製品を日夜作り続けている。

 何年もの間、私は革製品のコレクションに多くの作品を加え、今ではスタッフのジョーもハリソンウォレットの様な新製品のデザインを手伝ってくれています。私達のショップに非常に才能のある人達がいることは、とても特別なことです。

 この連載の第3話でもお話した通り、ギブソンウォレットは巨大な” バイカーウォレット” に対する私の答えでした。私は紙幣を平らに収納できる長財布が好きなのですが、ほとんどの長財布はかさばるので不満に思っていました。その点、ギブソンはとてもシンプルで薄い。持ち物を少なくすることで整理が簡単になり、日常生活が少し楽になります。

 また、私はデザインだけでなく製品の耐久性を向上させることにも多くの時間を費やしてきました。例えば、ミシンの縫い目が美しく丈夫であるよう、革縫い針のように丸穴を開けるのではなく、菱針を使用しています。針は推奨サイズよりワンサイズ下を使用し、穴の大きさと糸の太さのバランスをとりました。使用する糸はアメリカ製のボンデッドポリエステル。この糸は、私が見つけることができた最も丈夫な糸で、私たちのデザインにとても良く似合います。また、レザーの表面を出来る限り傷めない様に、ミシンの送り歯もカスタマイズしています。

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カードや小銭、折り畳んだ紙幣を収納できるコインケース。取り出し口が大きく持ち運びも容易で、非常に使い勝手の良い人気アイテム。

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革を革製品のパターンに合わせて裁断。ナチュラルなヌメ革以外は、ブラック、ブラウン、タンカラーの水性染料を使い手作業でひとつひとつ染めている

私たちの革製品は、アメリカのハーマンオーク社製100%植物タンニンなめしの革を使用しています。私はこの革の経年変化の美しさに惚れ込みました。自然な色合いを持ち、最初はとても明るく、使い込むうちに深い茶色へと変化していきます。レザーを使えば使うほど、身体の油分が革に染み込み、革を黒くし、コンディションを整えます。そして月日が経つにつれ、より柔らかく、より美しくなっていきます。さらにShip Johnのブラック、ブラウン、タンカラーのレザー製品については全て水性染料を使い、手作業でひとつひとつ染めています。植物タンニンなめしの革はシミになりやすいため、この作業にはとても時間が掛かり慎重に行わなければなりません。その結果、多くのレザーに見られる非常に光沢のある飽和色とは対象的に、ナチュラルで落ち着いた色合いに仕上がり、経年変化も楽しむことが出来るのです。

 レザーアイテムのデザインは、私がこの会社で行う一番好きな仕事の一つです。常に新しいアイデアと製品について考え、それらを具現化することはとても幸せなことです。

                                                        Mike Elias

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全ての革製品の製造はシップジョンの工房で行なわれている。そのアトリエ内には様々なレザークラフトの道具が並んでおり、手作業での染色作業も全てこの場所で行われている

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